ステンレススチールとは
 
 
ステンレスとは、Stainless Steel の日本語の略称で、Stainlessは[錆びにくい、汚れない]、Steelは[鋼]の意味があります。
ステンレスとは「さびにくく汚れにくい鋼」ということです。一般にステンレスは鉄を主成分として、これにクロムやニッケルを含有させた合金鋼で、大気中の酸素が酸化剤となって"自己不動態化皮膜"という酸化皮膜を形成し、錆にくさを維持しています。
ステンレスは、さびにくい性質、腐食に耐える性質、酸に耐える性質、熱に耐える性質、酸化に耐える性質など優れた特性をもっています。
この特性で、いろいろな方面でしようされるようになりました。世界的にも需要が増えています。
しかし、錆にくさの度合はステンレス鋼種と加工工程によって異なります。したがって"ステンレスは錆びない"というのは素材の場合であって、加工は複雑になるほど錆びやすくなります。いかに錆びにくいステンレスにするかが、技術の真価です!
一般的にサージカルステンレスと表記して販売されているアクセサリーが多いのですが、サージカルステンレスと言う分類はステンレスにはありません。
いわゆる造語といったところでしょうか?医療用によくステンレスが使われることからついた名前だと思います。
316Lステンレスを一般にサージカルステンレスと言うことが多いようです。
ステンレスアクセサリーには316Lステンレスのみが使われているのではなく他の種類のステンレスを使用しているものもあります
粗悪と言うのではなくそれぞれのステンレスの特徴を生かして製造されています。以下のステンレスの種類を見られるとわかると思いますが
硬さが必要なところや、加工のしやすさなどいろいろな特徴を生かしながら製造されています。
316Lのみと販売されていることが多いのですが、間違いの場合もあります。これは店舗側の知識不足もあると思います。
 
 
  オーステナイト系
  代表的鋼種は、SUS304で最も普及しています。この鋼種は加工性、靭性に富み、耐食性に優れていますが、焼入れ硬化性がないので硬さの点でマルテンサイト系に劣ります。 一般的には非磁性ですが、加工等によって弱磁性になることがあります。
  フェライト系
  代表的鋼種は、SUS430です。焼きなまし状態がフェライト組織で、成型加工に適する反面、高温度においては結晶の粗大化がみられ、靭性が劣ります。対錆性も表面の不働態化により優れてはいますが、オーステナイト系よりも劣ります。強磁性です。一般に厨房用の加工材や圧造用材料、金網素線等に広く使われています。
  マルテンサイト系
  代表的鋼種は、SUS410です。焼きなまし状態ではフェライト組織を示し、靭性に富み、成形加工も比較的容易です。 焼入れするとマルテンサイトを生じ硬化するので、ネジ用耐摩耗部品として使用されます。強磁性です。
  析出硬化系
  PHタイプといわれるものです。17-4PH(SUS630)と17-7PH(SUS631)があります。成形後析出硬化熱処理により、いろいろな強度が得られる特長を持っています。強磁性です。

以下、ステンレスアクセサリーに使用されているオーステナイト系の詳細です
代表的なオーステナイト系ステンレスの種類

SUS304 18-8ともいわれる代表的なステンレス鋼。
耐食性、耐熱性、機械的性質は良好。
加工硬化性は大、熱処理で硬化不能。食器類、食品設備等に利用
SUS304L SUS304で炭素量を少なくした鋼種。
粒界腐食に対する抵抗性良好。
溶接後固容化熱処理できないものに最適。
SUS321 18-8系にTiを添加した炭化物安定鋼。
粒界腐食に対する抵抗性良好。
430~900℃の間の使用に最適。
SUS316 SUS304をベースにMoを添加した鋼種。
SUS304より優れた耐食性があり、耐孔食性も優れる。
SUS316L SUS316で炭素量を少なくした鋼種。
SUS316の性質に耐粒界腐食性を持たせたもの。
SUS310S 耐食性がSUS304より優れているが、実際は耐熱鋼として
使われることが多い。
欠点
もちろんいいところばかりではなく、欠点もあります。
ステンレスは非常に硬い金属でとても加工がしにくい素材です。そのため、シルバーアクセサリーのような複雑、または、柔らかさを出すようなデザインの物は作りにくいと言うことになります。
また、リングが抜けなくなったときには、切断がとても大変です。きついリングを無理やり入れることはお控え下さい。

傷がつきにくいと一般的に言われますが、通常の使用方法でもそれなりに傷はついてきます。
鉄に比べると傷つきにくい硬い素材ですが、タングステンのように、ほとんど傷がつかないと言うことはありません。

貴金属などのように純粋な金属ではなく、あくまでも合金となりますので、永久に品質が変わらないと言うことはありません。金属自体の価値的にはそんなに高価なものではありませんので、資産などのために取っておくと言うことは無理です。

ここ数年、有名ブランドをはじめた数のブランド、ノンブランドとしてステンレス製のアクセサリーが増えてきました。
もともと製造するところが少ないと言うこと、シルバーのように個人で気軽にできるものではないため、工場はフル稼働のところが多いようです。
欠品になったときなど、数ヶ月も入荷しないなど、製造、流通に関してもまだまだ発展途上のようです

金属アレルギーとは
 
 
金属アレルギーは、その金属に含まれる金属イオンが汗などで溶け出し、体内に入ることにより、体が異物と判断し、その拒否反応として皮膚が、かぶれたり炎症を起したりするアレルギー反応です。
現在金属アレルギーがない人でも、その金属イオンが蓄積されると突然アレルギーを起こしたりします。
花粉症に良く似ていますね。一度、特定の金属でアレルギーになった場合、その金属に接することで何度でも発症するようです。
☆アレルギーになりやすい金属
コバルト、ニッケル、スズ、亜鉛、クロム、鉄、プラチナ、銅、銀、金など

金属アレルギーの方でも安心してつけることができる素材として一番有名なものはチタンです。ただ、チタンは、とても硬い金属で加工がしにくく、また高価な金属です。
そこで、ステンレスに目がつけられました!ニッケルを含有しておりますが、それが溶け出すことが非常に少なく、アレルギーの方でも安心してつけることができるのが特徴です。また比較的安価な金属で、加工もしやすく多彩なデザインができることから近年注目の素材となっております。
ニッケルフリーステンレスを使用するのが一番ですが、成形の工程や製造される条件によっては素材が硬くなってしまい、切削が難しくなり、特殊な溶解炉を必要とし加工が難しいため、オーステナイト系ステンレスが現在アクセサリーとして使用されています。ただ、こちらのニッケルフリーステンレスもどんどん改良が重ねられているようで、そのうちアクセサリーとして出回ることになると思います。現在はステンレスの中でも極力ニッケルの少ない物が使われています。
ステンレスでも、ステンレスの種類によってはニッケルの含有量でアレルギーを起こす物もあると思いますのでお気をつけください

また、タングステンも注目されています。もともと工業用に使用されていた金属ですが、融点が3400度と高く、また非常に硬い金属で、酸化にも強く環境にやさしいということで注目されています。比重が純金と同じで、重いため鉛に変わる素材として近年特に注目されています。ただ非常に加工がしにくく、まだまだアクセサリーとして出回ることも少ない金属です。

【注意】
 当店で扱っているステンレスアクセサリーは国内の商社が契約した中国およびタイの工場で製造したものを仕入れて販売しております。工場にも日本人が常駐し、品質には厳しく製造されております。
また、ほとんどの方に金属アレルギーが出ないアクセサリーとなっております。しかし敏感な金属アレルギーの方は稀にアレルギーが起こる可能性がございます。使用時は注意を払ってください。不幸にも金属アレルギーを起こしてしまった場合には、ご使用を中止してください。そして皮膚科を受診されることをお勧めします。

P.V.Dコーティング(イオンプレーリング)とは
 
 
特殊な金属蒸気(金属分子)をステンレス表面に接着(コーティング)することにより金属表面を丈夫にし保護する為に開発された方法です。低温で処理が出来、非常に強固なコーティングが出来る特殊な方法です。

メッキのように塗っている(かぶせている)のではなく、溶接のように表面に接着されてるのでメッキなどよりはがれることが少ないのが特徴です。まったくはがれないことはありません。通常のメッキよりはがれにくいと言うことです。

さまざまな金属により、発色が変わり、いろいろなカラーリングが楽しめます。

医療用の器具にも採用されるなど、アレルギーの方にも非常に安心できるコーティング方法です。

P.V.Dコーティングに使用される金属は窒化チタンや、窒化アルミニウムなどです。

補足
よく、ネットショップなどで、プラチナコーティングと呼ばれているものは、ロジウムのコーティングです。
本物より光沢があり、安くコーティングできるため一般的によく利用されています。
こちらは従来の液体メッキ方法によるものが多いようです。P.V.Dよりはがれやすくなります。
本物のプラチナをコーティングしたものも出ていますが、本物のほうが少し光沢が無いのが特徴です。
最近では、ゲルマニウムに見えるコーティング方法などいろいろな方法が開発されているようです。

注意。。。私が、個人的に文献を調べて掲載していますので、間違い箇所があるかもしれません。コーティングの専門の方で間違いに気づかれた方がおられましたら是非ご指摘お願いいたします。